夏らしい夏を、もう幾年も過ごしてなくて
街に響く太鼓の音も
夜空に咲く花火も
家でビール片手に聴いていたりする
「連日の猛暑」なんて予報がラジオから流れてくるから
車の窓を全開にして、湖畔を、峠を、当てもなく走る
何処か涼しい場所を求めて彷徨う
夏の日差し
揺れる向日葵
蝉時雨
浴衣姿の娘についつい見惚れながら
夏祭りの賑わいに少しだけ浸りながら
出店でつまみを買っては、また家でプシューっと一杯
短い信州の夏に、刹那な夢を見ていた頃も
儚く過ぎ去って行った、もう遠い昔のこと
今はただ、夏は「暑い」だけの季節だけれど
過ぎ行く夏を何故か愛しく思ってしまったりするから不思議